わかりやすい相続手続①

相続

相続があったときに、どのように手続きを進めればよいか、また、不動産・預貯金・株式(有価証券)などの遺産があるが、何から手をつければよいか分からない方のために、相続があってから、相続人の調査や相続財産の調査方法、遺産分割協議にはるまでの流れについてわかりやすい相続手続をご紹介します。

わかりやすい相続手続 「①相続人を確定する」

まずは亡くなった方(被相続人)の「相続人が誰か」を確定する必要があります。役所で被相続人の出生時から亡くなるまでのすべての戸籍謄本等を取得し、現在生存している相続人を確定します。戸籍謄本等は本籍地を定めている役所でないと取得できません。本籍地と住所は別の場所に定めていることも多いため、本籍地が分からない場合は、被相続人の住民票の除票の写しを取得し、本籍地を確認することができます。

わかりやすい相続手続 「相続の順位②」「

相続人には相続する順番があります。(1)から順に相続人に該当する者がいないか取得した戸籍謄本等を用いて調査をします。被相続人に配偶者がいる場合、配偶者は常に相続人に当たります。

(1)被相続人に子供がいる場合、配偶者と子供が相続人に当たります。

子供が被相続人よりも先に亡くなっているときは、子供の子(被相続人の孫)が相続人に当たります。ただし、被相続人の子供が養子だった場合は、被相続人の孫は相続人に当たらない場合があります。

(2)子供がいない場合は、配偶者と被相続人の父母、祖父母、曽祖父母(以下、「父母等」。)が相続人に当たります。

(3)被相続人の父母等も被相続人より先に亡くなっている場合は、配偶者と被相続人の兄弟姉妹が相続人に当たります。

兄弟姉妹が被相続人よりも先に亡くなっているときは、兄弟姉妹の子(被相続人の甥姪)が相続人にあたります。

わかりやすい相続手続 「相続権があるが、相続人になりたくないとき③」

相続放棄

被相続人と何十年も疎遠になっているような場合は、遺産は何も要らないから相続手続きにも参加したくないという方もいます。そのときは「相続放棄」という手続きをとることができます。相続放棄をすると、相続人ではなくなります。被相続人の借金が多額にあり、遺産がマイナスになるような場合も相続放棄をすることができます。相続放棄は家庭裁判所で行う手続きですが、原則として、自己のために相続の開始があったことを知ったときから3ヶ月以内に手続きをしなければ相続放棄ができません。家庭裁判所の手続きをせずに、単に遺産を放棄するという意思表示のみでは、法律上の相続放棄にはあたりませんので、手続き可能な期間に注意が必要です。

相続分の譲渡

自己の相続分を他の相続人や第三者へ譲渡することができます。相続分の譲渡をした場合は、譲受人が相続人として遺産分割協議に参加します。第三者へ相続分が譲渡された場合は、第三者が遺産分割協議に参加したことから生じる紛争を防ぐために、譲渡人以外の相続人が第三者から相続分を取り戻す権利(取戻権)があります。ただし、取戻権は譲受人に対する譲渡の時から1ヶ月以内に行使する必要があります。

わかりやすい相続手続 「相続人となるべき者には該当したが、相続人にならないケース④」

相続欠格

相続人に該当しており、相続放棄や相続分の譲渡もしていない場合でも、相続権が剥奪される「相続欠格」にあたる場合が民法で定められています。被相続人に詐欺や強迫によって相続に関する遺言書を作成させた場合や、相続に関する遺言書を偽造、破棄、隠匿した者等は相続欠格に該当し、相続権がありません。

相続人の排除

被相続人が生前に相続人となる者から虐待等があった場合に、被相続人が家庭裁判所へ請求し、その相続人となる者の相続資格を剥奪する「相続人の排除」という制度があります。この制度で相続人から排除された者は、戸籍謄本等にその旨が記載され、相続権がありません。

わかりやすい相続手続の続きは次回のブログでご説明致します。